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ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー

第4章 クレリア・ラーナー


来客の用事が済んだようなのでフィルとルイーズは後ろの席から立ち上がって祭壇のある前方へ歩み寄った


「クレリア、コロニーポートに教会宛の荷物が届いてたから持ってきたわよ、ロンデニオンから」


「ルイーズ、待たせたね
 急遽ひとりになってしまったので礼拝やら懺悔やら慌ただしかったんだ」


クレリアはフィルに向けたイヤミを言い放つ
だが視線はルイーズのほうだけを見据えてフィルを無視している


「先月から荷物を待っていたって言ってたから早く届けたほうがいいかな?と思ったのよ」


「さすがルイーズだね、よく気が利くというか、ふらふら職務をほっぽりださないというか
 本当にキミは素晴らしいよ!」


フィルは2人の会話には加わらず、黙って時間が過ぎるのを待っていた


少しの間談笑したあと、そろそろ行くわね
とルイーズは教会をあとにした


クレリアは何も言わずスタスタと裏手の自分の小屋のほうへ向かう

仕方なくフィルも黙ってついて行く


部屋に入るとクレリアは儀式用の礼服を脱ぎ去りラフな格好になるとベッドの上に寝転んでリラックスし始めた 

フィルは勝手に椅子に座るわけにもいかず、ただ師匠の機嫌を良くするにはどうすればいいのかわからず黙って立ち尽くしていた


クレリアは何も語らない少年に業を煮やす


「腹が減った!!何か作ってこい!
 旨いやつ!すぐ出せるやつ!」


そう言って近くにあったヘアブラシをフィルに投げつけた


「は、はい……」

フィルはとぼとぼとキッチンのほうへ向かい部屋を出て行った



30分後、ビーンズとサラダ、チキンと手早くテーブルの上に並べふたりは食卓の席についた


「あの、すいません、出てしまって…」


「そうだな、キミが悪い
 弟子入りした日からいつもフラフラ出かけてる、私の傍で習得する気が感じられない

 わたしが礼拝するときはキミも横につく

 わたしが出掛けるならキミも同行する

 わたしの動きから学べ、

 息を合わさないと、ヤツらが現れたらキミだけやられてしまうんだぞ?」


「………はい」


許しを得たとして、ようやくフィルはビーンズに口を付けるのだった


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