ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー
第4章 クレリア・ラーナー
部屋の中に入った瞬間!!
フィルの吐息が白くなる
異様な冷気!
壁が、タンスが、テーブルが
冷気により白く見える
いや部屋の空気自体が寒すぎて白く見えている
部屋の中の気温は外気とまったく違っている
エアコンが効きすぎているレベルではない
これでは食品加工場の冷凍倉庫だ
フィルの前髪、まつ毛が凍りはじめていく
思わずポケットの中の十字架を握りしめてしまう
“ヤツなのか?”
血の名前を持つ悪魔“ブラッディ”
フィルの身の回りに何度も現れる最悪の存在
少しだけフィルに心に余裕があるとすれば、その悪魔の名前を先に知っている、ということだ
名前は力だ
いざという時、聖水や神の言葉に匹敵するぐらい名前は奴らを押さえつけられる武器になるのだ
その強力な武器を持っている、それはとても大きな自信となっている
「こちらです、この奥の部屋に娘が……」
フィルの脳裏に幼馴染みのエレンの苦痛に満ちた顔が浮かんだ
そしてベッドの上で苦しむ小さな女の子ファ
さらに病院の屋上から落とされたリンダの最後の表情
フィルは覚悟して扉を開けた
奥の部屋はさらに凄まじい邪悪な気配!!
そして、そらに凍てついた空気!!
この世のものとは思えない空間だ
ここだけ人間が入ってはいけない領域のようだ
しかし!
何もかも凍りついている部屋の中には
誰も居なかった!
「?」
フィルが振り返ると、母親がうつろな表情のまま笑っていた
目がゆっくりとぐるぐる回っている
髪の毛がわさわさと動きまるで生きた蛇のようだ
女は自分の両腕を掻きむしる!
ゴリゴリッ!
肌をなぞっているレベルではない
腕の骨にまで爪を立てて掻きむしっているのだ
女の両腕はあっという間に血だらけとなってしまった
ポタポタ落ちる血溜まり
それも生きてるかのように床を動いている
まるで赤い虫のようだ
「フィリップ坊や、のこのこやってきた少年
甘い勘違いでもしてたんじゃないか?
この女とファック出来るとでも思っていたんだろうッッ!!!!!
この性欲猿めッッ!!!!」
悪魔は女の中に巣食っていた……
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