ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー
第4章 クレリア・ラーナー
フィルは覚悟を決めた
十字架を手に握り締め、ポケットから取り出す
目の前の女にかざすのだ
「父と子と精霊の名において命ずるッ!
悪魔よ、ただちに女の身体から離れろッ!
神は立ち上がり、その敵は退散するッ!
神を憎むものは、その前から逃げ去る事となる
煙が吹き消されるようにして、お前は吹き消され、炎の前にあるロウソクが溶けてしまうように、神の前にある悪は滅びるッ!
やましい悪魔よ、立ち去れッ!!」
フィルは神の言葉を次々と重ねていく
神の言葉は悪魔への苦しみとなる
悪魔への武器だ
言葉の弾丸が悪魔の中に響いていく
だが女の中の悪魔もひるまない!
それしきのことは初めからわかりきっている
だからこそ神の使いの修道士に目をつけた
教会から離してしまえば恐れることはない
「黙れ、人間がッ!
お前の言葉なんぞ効くものかッ!
欲望に満ちた人間!
愚かな人間!
貴様たちは弱いッ!ほころび始めた糸のようだ、すぐに裂けてしまうようなモロさ!
それがお前だッ!
お前は弱い!目の前の肉に食らいつく!」
笑いながら女はワンピースをビリビリと自ら破り始める
肌着も引きちぎり、上半身裸になった女はとても肉感的であった
服の上からではわからなかった豊満な胸が若き修道士の心を惑わす
血だらけの腕がグルグル不気味に回り、
虫のような血だまりがフィルの足元に近付いてくる
足は凍え、今にも靴裏と床が凍りつきそうだ
十字架を持つ指先まで感覚がなくなってくる
だがフィルは屈しない
凍てつき始めた肉体とは逆に
心臓の奥から燃え盛る炎を感じ取る
「わたしはお前を追い払うッ!
邪悪なお前を追い祓うッ!!
地獄から這い出しものよ、
神に逆らうものよ、
すべての軍勢、すべての集団、すべての汚れたもの、お前たちに命じる
神の御名によって命じる
父と子によって命じる
精霊によって命じる
神の力によって、教会の力によって、
神の御姿に似通わせたわたしたちが命じる
悪魔よ、ただちに立ち去れ!
この場から去れ!
汚れた姿を浄化させよ!
根こそぎ消えろ!
神の言葉を聞いて震えあがれ!
逃げ去れッ!」
フィルは絨毯爆撃のように次々と言葉の爆弾を投げつけていく
悪魔に苦しみを与え、追い込むのだ!
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