ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー
第4章 クレリア・ラーナー
「汚いアイツの文句を喋るなァッッ!」
もう女の言葉はフィルの耳には届かない
「退けッ! 地獄へ戻れッ! 消え去れッ!」
フィルも血圧がどんどん下がっていき意識が薄れていくなか、最後の力を振り絞って神の言葉を投げつける!
「ひとりでは………、ひとりでは行かんッ!
お前も道連れにしてやるゥゥッッ!!」
虫のように動き回っていた女の血溜まりはいつの間にかフィルの胸まで上がってきており、
それらは女の言葉とともに一気にフィルの口元へ!!
「坊や!お前もしねぇッッ!」
「がっっ!?」フィルの口元が塞がれ呼吸が出来ない!!
だが女の方も聖水を頭からかけられ焼かれるように溶け始めている!!
どちらも最後の力が尽きようとしていた!
そのとき!
バアァァァンンッッ!!と大きな音をたてて扉が開かれた!
そこに立っていたのは…
儀式礼服をまとったクレリア・ラーナーだ!
「復唱しろッ!
人をあざむく狡猾な蛇よッ!」
フィルは薄れゆく意識の中で復唱する!
「……狡猾な蛇……」
「しっかりしろッ!
人類を欺き、神の教会を迫害する、最も狡猾な蛇よッ!
もはやお前に耳を傾けるものはいないッ!
神の選ばれた人々から追放され、小麦のようにふるい落とされよッ!
至高の神がお前に命じる
お前のふくれあがった傲慢の故に、
お前が依然として等しいものと思い込んでいる神は、全ての人間が救われて、真理の知識に到ることを望んでおられるッ!
父と子と、精霊の御名によって命ずる、
しりぞけッ!悪魔ッ!!
地獄の釜に焼かれてろッッ!!」
クレリアの右手には十字架
それもとても巨大な特殊なものだ!
そして左手には立派な装飾が施された分厚い書物、聖書!
さらにワインボトルに入れられた聖水を振りかざす!
不思議なことにワインボトルの大きさのはずが、聖水が途切れない!
バケツほどの、いや風呂なようなおびただしい量の聖水が渦を巻いて女のカタチをした悪魔を呑み込む!
クレリアの背後からは神々しい光が発せられている!これは…
これは、まるで神だ!
圧倒的なクレリアの神のパワー!
女はガクン!と頭から床に倒れ、ほぼ同時にフィルも倒れた!
いや、床に倒れる直前にクレリアが抱きかかえた
「よくやった!」
フィルには聞こえなかった
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