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お題小説 labyrinth(心の迷宮)

第1章 ラビリンス(labyrinth)

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「それになによりさ、このわたしは今までナンパされてのワンナイトした事なんてマジてないんだから」

 それはつまり…

「だから多分ね、うん、多分よ…
 いくら何も知らなかったとはいえ双子だから…」
 …………ひと目合った瞬間に、不思議なテレパシーみたいなモノが通じ合ってさぁ、そしてお互いに一瞬で魅かれ、惹かれちゃったんじゃないのかなぁ?………

 だが、わたしは実際に、あのバーで蒼に声を掛けられた瞬間は正にそんな感じであったのだ。

「う、うん、じ、実はオレも、その感覚に近かった…」
 蒼もそう言ってきた。

「きっと、きっとよ、こうして後から、ううん、背中のホクロを確認したから双子って分かったんだけどさ…
 でもさ、多分さ、お互いのカラダ、つまりはこのカラダの細胞が、一瞬にして魅かれ、惹かれ合ったんじゃないのかなぁ?」

 わたしはかなり無理矢理な、そして屁理屈気味に語ってしまったのだが…

「そ、そうなのかなぁ」


「だからお互いの双子の同じ遺伝子同士がさぁ、一瞬にしてシンクロしてさ、細胞レベルから求め合ったんじゃないのかなぁ…
 じゃないと…なんか、今夜のわたしの異常な昂ぶりの説明がつかないし…」
 
「あぁ、だからまるで凸凹がピッタリとハマったかの様なあのサイズ感だったのかなぁ?」
 と、蒼までもが、妙に納得した感じに語ってきたのである。

 そう、そのサイズ感や、今だかつてないほどの、いや、異常なくらいに感じたあのセックスは偶然ではなくて…
 双子というお互いが分身といえるからこその必然といえるのかもしれない。

 だとしたら、全ての、全部の疑問が絶妙に解消してしまうのだ…
 分身といえる50%同士の細胞が、ひとつになりたい…
 結ばれたい…
 という遺伝子レベルの欲求により、お互いが強く求め、魅かれ、惹かれ合ったのであろうかと。

 だからバーで初めて声を掛けられた時…
 全然タイプじゃなかったのにも関わらずに、そしてその声を聞いただけなのに、不思議に惹かれ、魅かれ、昂ぶったのだろう。

 そしてこの時点で、わたし達二人には、双子同士の禁断の禁忌の近親相姦という罪悪感は…
 全く湧いてはいなかった。

 おそらくそれは…

 あの感じてしまった快感、エクスタシーといえる絶頂感の魅力のせいであろうと思われる…



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