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悪いオンナ…2

第1章 【美大生の僕は魅力溢れる彼女に心奪われて…】






———2ヶ月後



僕の作品は完成した
ソファーに座る彼女の半裸、シーツのみで隠してる
誰がどう見ても彼女だってバレるからコンクールとかには出せないけど、今の僕を全部出し切った作品だ
結局あのまま会わなくなった
連絡もしていない
向こうから来ることもなかった



大学内で、何度か見かける事はある
会うたび違う男が隣に居るけど
もう僕には関係のない事だから、と目を逸らす
早くこの傷が癒えるように願うばかりなのに
忘れたくて藻掻いているというのに、
どうしてキミは………



偶然にも立ち聞きしてしまった事がある
立ち去るにも立ち去れない状況の中、
友人に僕との関係を怪しまれていた時期があったようで
「何にもないよ」って否定していた



「うっそだ〜めっちゃ美術学科だったっけ?油絵コースの男子とコソコソ会ってたでしょ?噂なってたんだからね〜」



「あぁ、会ってたけど、本当、皆が思うような関係じゃないの」



「会って何してたの?」



「うーん……モデル?」



「え、何で多希なの?」



「私からお願いしたんだよ、彼の絵に凄く興味持ったから」



「わ〜出たよ、多希のタラシな悪い癖、それで何人も勘違いして告られてきたんだよね、で、絶対返事しない悪いオンナなんだよ多希は」
「彼が可哀想、きっと多希の毒牙に掛かったんだね」
「どうせ告られて振りもせず泳がしてんでしょ?」



友人らに口々に責められていたが、まるで僕の代弁をしてくれているようで答えを聞くまでは動けないでいた



「告られたけど……怖くなって逃げちゃった」



「えっ!?」



「本当、凄い才能あるの、将来近いうちに大きな賞とか取るんじゃないかな?って思う……だから私みたいなのが近くに居たらダメなんだよ、才能を削ぎ落としちゃう」





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