悪いオンナ…2
第1章 【美大生の僕は魅力溢れる彼女に心奪われて…】
「凄いね」って涙目で見られたら
隠してた気持ちが滲み出てしまう
「もっと描いた時の事聞かせて」って
油絵の前に座って、大して面白くもない僕の話を
嫌な顔ひとつせずに聞いてくれた
相槌もちゃんと打ってくれるし、何より聞き上手なんだと思う
好きな話題だと幾らでも話せちゃうのは不思議だ
長谷川さんはデザイン学科で主に空間デザインを勉強していてインテリアデザイナーを目指しているんだそう
だから顔も合わさなかったのか
それに僕は大学内にあるアトリエに籠りっぱなしだしな
途中で肩に頭が乗ってきた
「あ……ごめん、面白くないよね、僕の話…」
「ううん、そんな事ないよ、ガクって本当はよく喋るんだね、そのギャップ可愛い…」
眠そうで目がトロンとしてる
同じシャンプーの匂い、
急にまた心臓が煩くなってきた
え、凄い距離感バグってないか?
話に夢中になってて、腿に手が乗ってる事とか、顔がめちゃくちゃ近い事とか
慣れてない僕からしたら、もうどうしたら良いのか全然わからない!!
「ねぇ、ガク……ベットで一緒に寝よ?」
「え?いや……僕は床で寝るから大丈夫だよ、長谷川さんベット使って?始発は?調べた?」
「……………」
時間はもうすでに深夜2時
数時間しか寝れないにしても、絶対ベット使った方が良いに決まってる
あ、ファブリーズしとこうか
思い立った瞬間、Tシャツごと引き寄せられて……
柔らかな感触が唇を包む
僕は脳内ごとフリーズして動けない
瞬きすら出来ない一瞬の出来事
ゆっくり離れた唇
「へ…?」なんてダサい反応しちゃって格好悪い
クスッと笑うキミの方が何枚も上手なのは確かで……
「一緒に寝よ?」
「は、はい……」
手を引かれて僕は、2人でベットの中に入った