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キセキ

第7章 Vol.7〜記憶の先に

私は成長し、一児の母になった
母親とはあまりうまくいってないし
夫は優しいが帰りが遅かったので
子育てはけっこう大変だった

ある日、息子がずいぶん落ち込んで学校から帰ってきた
生真面目な息子は学級委員をしていたが
皆、言うことを聞いてくれないというのだ

私とそっくりだ
がんばり屋の息子の頭を私はなでた

私もひとりだった
母が頼りにならなかったので
私はいろんなことを一人でやっていた
大学も自分で決め
奨学金の申請も自分でしていた
生活もわからないことだらけだったけど
自分でなんとかした

でも

いつも誰かが助けてくれた
一番支えてくれたのは
今の夫だった

今日も遅くなった夫に
私は息子のことを話していた

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