テキストサイズ

キセキ

第10章 Vol.10〜私の居場所

【Vol.10:The girl takes a nap by the lake】

あたしはひどい扱い受けていたと思う
出来の良い兄と比べられ
「いらない子」と言われることは日常茶飯事だった

父はひどく癇癪持ちで
 要領よく勉強できないあたしをよく叩いた

 家の中はいつもピリピリしていて
 あたしが不用意に笑おうものなら
 「何がおかしいのか、何も一人前に出来ないくせに」
 と怒鳴られた

母はひどく神経質で
 あたしが他の子に見劣りすることを
とても不満に思っていたようだった
  成績の悪いあたしを塾に通わせ
学校の宿題と塾の宿題
 2つが終わらないうちには、決して寝かせようとしなかった

18になって
 あたしは家を飛び出した
最初は友達の家を転々としていた
  風俗は嫌だったし、悪いこともしたくはなかった
 なんとかバイトで食いつないでいたけど
まっとうな暮らしではなかったと思う

誰かが守ってくれるとか
 何かが頼れるとか
思えたことはなかった

ストーリーメニュー

TOPTOPへ