
「好きです。付き合ってください」
第9章 創作「好きです。付き合ってください」
……完全に、油断していた。
卒業式も無事に終わって明日から春休み、4月からは高校生だけど、同じ中学から一緒の高校に進む子もたくさんいるし、特別なことは何も起こらない、と思って気を抜いていた。
……の、だけれど。
「好きです。付き合ってください」
この一言で、私の高校生活の予定がくるってしまった。
いや、私が言われたわけでは無い。もちろん、言っても無い。
……聞いてしまったのだ。通りすがりに。
いつも私と一緒に遊んでたはずのおバカ仲間だった由紀子が、生徒会長の岡本くんに、告白していた現場は、突然現れた!いや、むしろ突然現れたのは私の方か。
何も考えず、完全に気を抜いてダラダラと廊下から生徒玄関に向かって歩いていた私の耳に飛び込んできたそのセリフは、聞き覚えがありすぎる親友の声。
嘘でしょ!相手だれっ? てか、由紀子に彼氏が出来ちゃったら、アタシは今度から休日に誰と遊べば……。
そんなことを考えながら、息を潜めて様子をさぐる。てか、この下駄箱の反対側、、だよね…。どうにかして見つからずに二人の姿を確認できるポジションを探して右往左往し、相手が誰なのかを突き止めた、ら、生徒会長の岡本くんだったのだ。
……由紀子、岡本くんと接点あったんだ。全然知らなかった。
