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「好きです。付き合ってください」

第9章 創作「好きです。付き合ってください」

岡本くんの返事は、ちょっとよく聞き取れない…けど、これ以上近づいたら、盗み聞きがバレちゃう…。てか、既に近すぎる気がする……。

バレないようにゆっくり静かに後ずさりして距離をとる。

「あ。さゆじゃん。なにしてんの?」
「……っぁ!?!?」

気付かれないように息を潜め、隠れようとしている最中に、突然後ろから声をかけられるのは本当にビックリする。マジでアタシの心臓が止まったらどうしてくれんだこの野郎。

「しーっ! 今、ダメっ。コクハクチュウ」

 由紀子たちに聞かれないよう、なるべく小声で制する。
ちなみに【さゆ】というのは鈴木しか使わない私のあだ名。名字と名前、それぞれから一文字目をとって繋げて【さ】さき【ゆ】み、で【さゆ】らしい。
 いや、それなら【さ】しま【ゆ】きこ、も【さゆ】で一緒じゃん、と言ったことがあるが、なぜか由紀子のことは、【しま】って呼んでいる。鈴木のあだ名付けセンスは謎過ぎる。

「誰が、誰に?」

 私の小声に合わせて鈴木も小声で聞いてくる。

「由紀子が、生徒会長の岡本君に」
「え!しまが、岡Pに?」

こっ、声が、デカいよ!バレるよ!慌てて鈴木の口を手で塞ぐ。

「あ。。ごめんて〜」

 私の手をどけながら、小声で謝ってくる鈴木。“ごめんて”じゃないのよ!
 てか、なんだ『岡P』って。生徒会長のこともあだ名で呼んでんのか。クラスも部活も違うのに、あだ名で呼んでるの、さすがに馴れ馴れし過ぎない? 
 もしかして、鈴木も岡本くんと接点ある??まさか、喋ったことないのアタシだけ?!

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