
Lの禁忌 〜taboo〜
第1章 【ココロ、堕ちる】
「嫌なら絶対にやめるんで、教えてください……キスしても良い?」
「へ…?キス…!?」
声が上擦っちゃったよ、歳上の余裕、全然ない……
ちょっと待って、目が本気……
だからそんな熱帯びた目で見つめられたら
動けなくなるんだってば……
何でバクバクしてるの、この心臓はっ
「私、ふざけてたり不真面目な気持ちで言ってるんじゃないです、好きになっちゃいました、まりさんの事」
「え?好き?わ、私を!?」
「困りますよね、こんな事言われても……気持ち悪くさせたならごめんなさい」
そう言われて思わずギュッと手を握り締めてしまった
「気持ち悪くなんかない…!そんなの1ミリも思わないよ、ただただ……びっくりして、正直、戸惑ってます、私の何処が良いんだろうって」
「言いましょうか?夜が明けてしまうと思いますけど」
「え?え?いや、良いです、夜が明けるまでは困るな」
「クスッ…ですよね?でも、これから少しずつでもお伝え出来たら良いなって思ってます、だから…良いですか?」
「良いって……何を?」
聞き返しながら、言葉の意味は何となくピンときてる
髪を耳に掛ける仕草、眼力半端ないよ
「質問を変えます、私の事、怖いですか?」
「こ、怖くない……」
「好きですか?」
「え……それ、ズルい」
「あまり聞きたくはないですが、怖くないけど好きじゃない?何とも思わない相手ですか?」
「え………」
明らかに視線が揺らいだ
悟られないように必死に繕う
その一瞬の隙を見逃さないでいてくれた事に
本当は心の何処かで安堵していた
ちゃんと見てくれているんだなって
嬉しかったのかも知れない
「質問に戻ります、私の事、好きですよね?」
あ……無理、奪われる
