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平凡OL、不慮の事故で異世界チート村長へ成り上がり

第36章 凛、宣伝台に立つ

しおんは彼女の瞳を見つめ、優しく微笑む。
「……そうか。責任感があるな。ありがとう、凛。無理はしなくていいからな😊」

その言葉に、凛の胸は熱く震えた。
主に信じてもらえている――その事実が、心を強くした。

「では」
ハヤンが手を叩き、声を弾ませる。
「当ギルドの一室を使いましょう。ここなら人目を気にせずに済みます。――さっそく冒険者の男どもを呼んでまいりますぞ」

四人は先に割り当てられた実演室へ移動した。扉が閉まると、しおんは凛の前にしゃがみ、穏やかな声で囁く。
「引き受けてくれて、ありがとう。……よろしくな☺️」
小さく頷いた凛の額に、そっと口づけを落とす。ご褒美は、努力に報いるために――それがしおんの流儀だった。

「流れを確認しよう。まずは俺が“魔振棒”の説明をする。そのあとで、実演に移る。……大丈夫だ、俺がついている」
「……はい。やると決めたからには、ちゃんとやります」
恥ずかしさに頬を染めながらも、凛の声は芯が通っていた。

しおんが小瓶を差し出す。
「凛、準備を。――軽くでいい、用量を守って塗ってくれ👌🏻」
「わかりました」
凛は深呼吸ひとつ、視線を落として手早く塗布を済ませる。指先が僅かに震えてはいたが、動きは迷いがなかった。

そこへ、ハヤンが扉を開けて戻ってくる。
「お待たせいたしました。今、冒険者を五十名ほど、この部屋へご案内しております」
程なく、通路の向こうからざわめきが近づき、実演室の観覧席が埋まっていく。空気は期待で温み、視線が前方の小さな壇上へと集まった。

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