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平凡OL、不慮の事故で異世界チート村長へ成り上がり

第10章 真夜中のざわめき

しおんは彼女を抱き締めたまま、低く囁いた。
「……凛。抱いていいか?」

その一言に、凛の体がびくりと震えた。
「……っ……」声にならない声が喉で震える。
視線を落とし、両手でシーツをぎゅっと握りしめる。

「無理にとは言わない。でも、俺は――お前を抱きたい」
静かで優しい声。

凛の胸は早鐘のように鳴り、耳まで赤く染まっていく。
「……わたし、まだ……よく分からなくて……でも……」
消え入りそうな声で呟きながら、ちらりとしおんを見上げる。
その瞳は不安と期待が入り混じり、潤んで揺れていた。

しおんは彼女の頬に手を添え、親指で優しく撫でる。
「大丈夫だ。怖かったらやめる。……でも、凛が頷いてくれるなら、全て大事にする」

その言葉に、凛の唇が小さく震える。
しばらく迷ったあと、顔を真っ赤にして小さくコクリと頷いた。
「……はい……お願いします……」

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