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平凡OL、不慮の事故で異世界チート村長へ成り上がり

第3章 街の賑わいと冒険者への第一歩

城壁をくぐると、そこには活気あふれる光景が広がっていた。大きくはないが程よく栄えた街。石畳の通りを子供たちが笑いながら駆け回り、広場には色とりどりの布を敷いた市が開かれている。香ばしいパンの匂いと、香辛料の刺激的な香りが混ざり合い、旅人の耳には客引きの声が飛び込んできた。

「……本当に異世界なんだな😮」

しおんは胸の奥に沸き上がる高揚を噛みしめる。見知らぬ言葉も自然に理解できているのは、きっと神様の加護のおかげだろう。

ふとバッグから一冊の本を取り出した。革張りの分厚いそれは、神様が「困らぬようにしておいたぞ」と笑いながら持たせてくれたものだ。大陸図、主要都市の情報、そして暮らしていくための様々な手続きが丁寧に記されている。ページをめくると、最初に太字で書かれていたのは――

《まずは冒険者登録を済ませるべし》

「なるほど……そういう流れか🤔」

神様らしいお茶目な配慮に苦笑しながらも、しおんは素直に従うことにした。旅を続けるにも、村を築くにも、まずは身分証となる冒険者カードが必要だと本には書いてある。

街の中心部にある大きな建物――冒険者ギルドの扉を押し開けると、中は外の喧噪とは別の熱気に包まれていた。掲示板には依頼の紙がずらりと貼られ、受付前には鎧姿の男やローブを纏った魔術師風の女が列を作っている。

「ご登録でしょうか? では、こちらで承りますね☺️」

受付の女性に声をかけられ、しおんは案内されるままに机の前へ。名前と年齢を告げると、魔力を測る水晶を手渡される。掌を乗せると淡い光が溢れ、透明なカードが目の前で形を成していった。

「はい、これで登録は完了です。あさくらしおん様、今日から正式に冒険者です」

手渡されたカードを見つめる。硬質な板に刻まれた自分の名――それはこの世界で生きていくための、最初の証だった。しおんはカードをそっと握りしめ、心の中でまた一度神様に礼を告げた😌

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