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掲示板には数え切れないほどの依頼が貼られていた。魔物討伐から荷物運びまで様々だが、どれも初心者には荷が重い。しおんはじっと紙を眺め、やがて一枚に目を留めた。

《薬草の採取依頼　報酬：銅貨数枚》

「……これなら自分でもできそうだな🤔」

依頼書を手に受付へ戻ると、女性がにこやかに微笑んだ。
「薬草採取ですね。登録したばかりの方にはぴったりです☺️　では、手続きをいたしますね」

必要事項を記入し、簡単な説明を受けると依頼は正式に受理された。
「それでは薬草採取、よろしくお願いします🙇🏻‍♀️」
送り出され、しおんはギルドを後にした。

――向かったのは、朝に目覚めたあの草原。陽光を浴び、風にそよぐ緑の絨毯はどこまでも続いている。薬草は意外なほどすぐに見つかり、しおんはそれを摘んでマジックバッグに収めていった。

「……こんなに簡単に手に入るのか」

依頼分はすぐに集まったが、しおんは足を止めなかった。せっかく異世界に来たのだ、もう少し歩いてみたい。見たことのない景色を、この目で確かめたい。

草を踏みしめながら進むと、ふと視界に小さな動きが映った。

「……またスライム？」

今度のそれは手のひらほどの大きさで、平べったく透き通った体をしていた。ぷるぷると震え、のそのそと這う姿は妙に愛嬌がある。

「倒すのは簡単だろうけど……なんか面白そうだな」

前に捕えたスライムと同じように布で包み、マジックバッグに収める。ぬるりとした感触が手に残り、しおんは思わず小さく笑った。

夕暮れ、街へ戻ったしおんはギルドの受付に姿を見せた。
「薬草の納品ですね。確認いたしますね」
差し出した薬草は丁寧に検められ、銅貨数枚が報酬として手渡された。

「初依頼、達成です。お疲れさまでした☺️」

受け取った硬貨は大金ではない。だが、しおんにとってはそれ以上に――異世界の景色を歩き回り、見知らぬ存在を捕まえた時間こそが、何より楽しい収穫だった😊