
脳内ショートストーリー
第4章 【和泉沙良と金城伶〜年下くんとの恋〜】
「ごめんなさい、私的にはワンナイトにしておいて欲しいです」
「え…?」
あからさまにがっかりした顔……
そんなわかりやすい人だったっけ?
あの日の朝は……遊んでそうな若い子に見えたけどな
ゆっくり手を剥がし、距離を取る
「素敵な夜だったって事で良くないです?お互い大人だし、そういうのがあってもおかしくはないでしょう、でもそれをこの場で持ち出されるのは宜しくないです、デキる男になりたいなら、その辺のルールは守って頂かないと」
論破ってとこかしら?
「じゃ、もう一度、僕と外で会ってくれます?やっと見つけて動揺した事は謝ります」
「うーん、動悸の原因は働き過ぎかな?もう少し肩の力抜いてみては?」
「僕の事、もっと知って欲しいです、沙良さんに」
さっきまで“お姉さん”だったのに不意打ちの名前呼び
慣れてるよね?やっぱ
問診票を指差して「この情報だけで充分です」と愛想笑い
「あの日の夜、僕で初めてイケたって言ってくれたじゃないですか…」
こ、こいつ………
特大の溜め息と頭を抱える私
あとどれくらいの爆弾抱えてるの?
記憶がないだけに下手に出れないってやつ
「エヘヘ」って可愛い顔してもダメ
腹の中はとんでもなく真っ黒な男じゃん
「とりあえず交換しません?」と連絡先の要求
屈してしまうのか
この顔に負けてしまうのか
「え〜インスタじゃないんすか?何でライン?」
「会社ではお互いの立場を尊重した距離感でお願いします」
「は〜い、わかりました」
結局、私の方が論破されてしまった
「誰にも言いふらさないでね」と付け加えたら
いきなり振り返ってきて顔が近付いてきた
咄嗟に仰け反るも
「言えないですよ、あんな綺麗に乱れてた姿なんて」
って耳打ちしてきたの
