
脳内ショートストーリー
第4章 【和泉沙良と金城伶〜年下くんとの恋〜】
連絡先教えた事、激しく後悔……
それからというものの、
定期的に診察室来るし、やたら誘ってくる
しつこいから何度かご飯には行った
絶対にホテルなんか行くもんかって警戒してたけど
話すと普通に面白くて気を許しちゃう
年下なんだけど同期みたいな感覚で話してしまう
「沙良さん」って呼ばれて年下だったと思い出す
「また来週、会社で…」
ちゃんと電車のホームまで送ってくれてバイバイ
最寄り駅に着いたら防犯の為だと言って
家に着くまで電話を繋いでてくれる
この前なんて寝落ちするまで話してたっけ
あれ、私、いつの間にこんな許しちゃってるんだろう
あまりにも下心がチラつかず、
対等に接してもくれるし、
時々女の子扱いしてくれるし、
何でこんな子とワンナイトしちゃったんだろって
違う始まり方なら、きっと私、
彼を好きになってるんだろうなって思う
いつも煩いくらいメッセージが来て、
お昼休憩なんかも、例え10分しかなくても
顔を出してきたはずなのに、
ある日を境にパッタリ…と途絶えた
押して押して引く作戦か…!?
それでも仕事は熟していく日々
私から連絡を入れた事がない手前、
何だか待ってるようにも思われないかと
なかなか連絡する勇気がなかった
そして、風の便りで体調不良で休んでる事が判明した
仕事が終わって退社後、駅に向かう道中で
思いきって電話を掛けてみた
すぐに出てくれたは良いけど……
え、誰?というくらい声が嗄れててウケる
——え、え、沙良さんですか?本物?
「うん、一応……本物です、体調どう?声、凄い事になってるね」
——すみません、風邪拗らせちゃって……だいぶマシにはなったんですけど、声がこれなもんで
ごめんね、笑ってしまって
ちょっとツボにハマって動けない
——笑い過ぎですよ、もう〜
また声が上擦ってて追い打ちをかけてくる
いや、違う、私が電話掛けた理由…!
