
脳内ショートストーリー
第4章 【和泉沙良と金城伶〜年下くんとの恋〜】
トロトロになって自我を失っているキミが
愛おしくなっちゃったの
欲しい、何もかも……
貪欲な私は、一緒に堕ちて…と言った
でも、今日はダメ……理性、残さなきゃ
ギュッと抱き締めて肩に顔を埋めた
「沙良さん…?」
「はぁ……これ以上は、うん、やめておこう?」
「……はい」
「またぶり返すとダメだから、今日はここまで」
顔戻すのに必死だよ……硬いのにも気付いてる
今はダメ、ごめんね、一緒に耐えて?
退いて立たせると少し前屈みになって気まずい
「自然現象なので」と自嘲気味に笑うけど
悪いのは私、謝らないで
「じゃあ、帰るね、ゆっくりしてて」
「ありがとうございます、凄く…助かりました」
それほど大した事はしてない
袋提げてさっさと帰れば良いものを
部屋にまで上がって勝手に作り置きしただけ
最初からそのつもりで買い物もしてたよね
何やってんだろ、私……
元カレに言われた事、思い出しちゃったよ
“重い”って……
フラッシュバックして嫌な気持ちになったけど
金城くんは180度違うリアクションだった
それが胸に焼き付いて、嫌な思い出を浄化させてくれた
勝手な思いではあるけど、上書きしてくれたって思ってる
早く良くなると良いな
そしたらまた……
「おはようございます」
「え…?おはよう、声、戻ったね」
「はい、お陰様で、回復しました」
始業前なのに、朝早くに診察室へ寄ってくれた
朝の準備をしていたところで手が止まる
こんな事、誰かに見られたら変に誤解されちゃうよ?
「沙良さん、ちょっと…」と手招きされて行くと
かしこまった感じで
「次の日曜日、予定ありますか?」も聞かれた
スマホのスケジュールを確認して空いてると伝えたら…
「その日、僕とデートしてください」
「え?」
「これからもガンガンお誘いするんで空けといてくださいね?」
「ちょ、ちょっと…」
「約束ですよ?詳細はまた送りますね」
言うだけ言って去ってしまった
