
リニエンアナザー
第1章 クロタネソウ
「あ、やぁ……くすぐったいっ」
「千種……」
「……あ」
「千種、好き」
頬に添えて、ゆっくりと千種へ言葉を紡ぐ黒谷。
嬉しい気持ちが先行するばかりで、何度か唇を開いてはみるものの何故か言葉が出てきてくれない。
「私、は……っ」
本当は私も好きだと直ぐにでも言ってしまいたい。
けれど気持ちが晴れたとは言え千種自身、即答して良いものかと戸惑いが邪魔をする。
「……ん。いいよ、千種。悩む時間をあげる。その鈍い頭でもっと悩んでよ」
黒谷は目許を紅く染め、嬉しいのか困っているのかどちらにも取れる複雑な笑みを向けた。
「そ……んな言い方は、狡いんじゃないかな?」
そうだねと更に引き寄せられ、腰がジンと熱を帯びる。
これはもう、千種の気持ちは彼にバレているのでは無いか。
そう感じると更に身体が、顔が熱くなる。

作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える