テキストサイズ

リニエンアナザー

第1章 クロタネソウ


「あ、LI●Eはごめん。通知切ってた……」

いや、今は違う。そんなLI●Eどころの話では無いのに、黒谷ははぐらかそうとしているのだろうか?
千種は壁の冷気も相まって身体が震えた。

「じゃなくて、黒谷の彼女の話でしょ?……○○高校だって」

「○○高……。んん?あー千種待って、一旦落ち着こうか」

「?……私は落ち着いてるけど。言って欲しかったよ」

千種は弱々しい声とは裏腹に、握る手は力がこもっていた。
彼女の一言に黒谷は心底呆れ果てたとでも言う表情で、彼女の顔横の壁に手を付く。

「言うもなにも……じゃあ、彼女いたら何なの。そんな顔して、お前は平気って言える?」

少しの間から、深い息を吐いて鋭い視線が返ってくる。
そんなに怒ること無いじゃないかと、心の中でぼやいた。

「平気……じゃあ無いかも。ずっと一緒に帰ってたのに、突然それが無くなっちゃったんだもん」

寂しい……。掠れた声は何とかその一言を形にした。

「寂しいって、それだけ?お前にとって俺は、そんなモン……」

「そんなものって、何?私にとっては大切な……っあ!違う、何でも無い。もう、分かったから」

こんな形で告白してしまいそうになるなんて、間抜け過ぎる。咄嗟に奥歯を噛み締めた。

これ以上話すと本音が滑り落ちてしまいそうで怖くなった千種は慌てて肩に掛かる彼の手を振りほどく。

バイバイと呟き、華奢な身体は壁と黒谷の間を難なくすり抜けた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ