
リニエンアナザー
第1章 クロタネソウ
「千種……おい」
「や、ちょっと……?!」
踵を返す刹那、手首に掛かる大きな手に捕らわれ再び壁へと押し付けられてしまう。
「勝手に完結させないの。大切ってなに?その後どう続くのか言ってくれないと」
「だから、もう良いの」
「ああ、もうっ!こっちは良く無いんだって」
少し声を荒げた黒谷。
驚いた千種は彼の顔をまともに見ることが出来ず。顔を反らすと、掴まれたままの手首へ視線を投げる。
血管が浮き出て逞しい、大きな手だった。
こんなに近いのに、彼女が抱くのは空虚感しか無い。
空いた穴を埋めるように、温かい手の甲にすり寄りたい。そんな衝動に駆られていた。
「お前本当に、人の話聞かないな」
「だって、最近の黒谷冷たい……可愛くない」
「可愛いって、やめて……。俺だって、色々悩んでたんだよ」
「?何の話……」
「……お前が鈍いの、盲点だったわ」

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