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陽が沈む湊、陽が昇る湊。

第12章 芽吹く場所

翌日。夕方。

葵は家の近くで瑛士と待ち合わせをした。

「結城さん、お待たせしました」

「お疲れ様です」

葵はエアリーなスリーブのブラウスに濃い色のキュロットパンツ姿

「私服姿も素敵だ」

瑛士はちょっと照れ笑いを浮かべながらニッコリ笑った。

「ありがとう、今日の神楽坂さんも素敵です」

葵も顔を赤くしながら彼にいった。

「行きましょうか?」と瑛士は彼女の手を取り停めてある車まで案内する。

ダークブルーのボルボXC60。

建築家らしいこだわりの内装、全身を包み込むコックピットのような作りが気に入っている瑛士の愛車。

葵を助手席乗せると、シートベルトを引き出してシートに手をかけ反対側の手でバックルをはめる。

その時二人は向かい合わせで自然と顔が近づいていた。

ピクンと葵の身体が反応する。

「あ、ごめんなさい」

瑛士がスッと身体を離していった。

「い、いえ、大丈夫です」

葵は瑛士の体温といい香りを感じて、全身が一気に熱くなるのを感じていた。

二人は創作フレンチレストランで食事をしながら会話を楽しむ。

「とても美味しかったです。中でもサーモンのタルタルが絶品でした」

「気に入ってもらえて、良かった。またサーモンのタルタル食べたくなったら、いつでもいってください」

レジで葵が財布を取り出すと、「ココは僕に奢らせてください」と、瑛士が会計を済ます。

「ご馳走様です。あの、この後……良かったら珈琲をご馳走させてください」

「本当ですか? では、お言葉に甘えて」

瑛士は車を走らせ、ドライブインのカフェに寄った。

「結城さんを連れて行きたいところがあるんです。まだお時間ありますか?」

車内で珈琲を飲みながら瑛士はいった。

「はい、大丈夫です。どこへ行くのですか?」

「僕のアトリエです。忘れ物をしてしまって」

「神楽坂さんのアトリエ、見てみたいです」

瑛士はホッとしたように微笑みながら、ステアリングを握って夜道を進んだ。

小一時間後。

瑛士のアトリエは自然あふれる山間部に建つデザインハウス。

「どうぞ」

瑛士に促されアトリエに足を踏み入れる葵。

一面ガラス張りの窓から街の灯りが遠くに見える。絶景だ。

「うわぁ、素敵」

「葵さん」

「えっ!?」

「まだ知り合って間もないのですが……僕と……」

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