戻れない場所
第2章 1
「そろそろ帰る?」
「そうだね…。」
ほんとは帰りたくない。
けど時間はもう6時。
冬だから辺りはもう真っ暗。
仕方なく私は電車に乗る。
「今日…ごめんね。」
「え、な、なんで!?」
「ちゃんと計画も立ててなかったから…つまんなかったよね。」
彼は反対側の窓の外を見ながら言う。
「そんなことないよ!凄く楽しかった。それに…。」
「それに?」
「それに…優矢と一緒にいれるなら、なんでも楽しいし…。」
私は恥ずかしくなって下を向く。
彼もきっと恥ずかしかったのだろう。
黙ったまま、そっと私の手を握った。