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淫らな死体~お嬢さま春泉の秘密~④

第8章 夫の秘密

 判りましたね?
 最後に念を押され、春泉は涙で充血した眼で頷いた。
 当代一の好き者といわれた良人を持った母だけはある説得力のある言葉ではあったが―、春泉の頭には、到底、母の言葉は残っていなかった。
 秀龍さまが妓生と―。
 それも、国王さまのお心さえ動かすとまでいわれる妖艶な美女〝傾城香月〟と深い仲に。
 母が帰った後、春泉は一人で泣いた。
 こんなとき、小虎がいてくれたら良いのに、気紛れな猫はまた、どこかに出かけているようだ。
 それほどまでに男を惹きつける色香溢れる妓生と垢抜けない自分を比べれば、秀龍がどちらを選ぶかは三つの子どもでも判るだろう。

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