テキストサイズ

淫らな死体~お嬢さま春泉の秘密~④

第3章 父の過ち

 彼にとって、ゆきずりの娘の素姓を調べることなど、朝飯前である。あらゆる方面に繋がりを持つ彼は、愕くべき情報網を持ち、彼の許には都のすべての情報が集まるといっても過言ではない。上は雲の上の王宮に住む国王から、下はどこそこのお屋敷の使用人のことまで―知ろうと思えば何でも知ることができる。
 あんなろくでもない親父でも、あの娘にとっては実の親父だ。千福は一人娘を溺愛してるっていうし、あの娘は、千福が死んだら、やはり泣くだろうな。
 あの娘の顔が脳裡を掠め、光王は何かに耐えるような表情でしばらく眼を瞑っていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ