俺を好きだと言ってくれ
第2章 *出逢い..
『奥田さん、大丈夫?』
「…あ…うん……。
昨日はありがと…。」
意外にも話しかけてきたのは神崎くんで、優しい口調にドキドキする。
昨日のお姫様抱っこが脳裏に浮かび、顔が熱く真っ赤に染まった。
『ごめんね。
昨日は付き添ってあげられなくて。』
「ううん……大丈夫…!」
私より由紀さんの方が大事。
彼女を何よりも最優先する。
そこが神崎くんのいいところなんだから―…
「…あっちゃん行こ。
1時間目から移動だよ。」
「あ、うん…!」
神崎くんの側から離れ、モッチーと桐谷くんの間を通り抜ける。
『陰口かよ……』
すれ違い様に聞こえた冷たい口調。
『たちわりぃな、お前ら。』
軽い舌打ちも聞こえて背筋が凍りつく。
ほんとはすごく怖いけど、私だって負けていられない。
そのまま無言で桐谷くんの横を通り過ぎた。