俺を好きだと言ってくれ
第3章 *初恋..
『おはよ』
次の日の朝、校門の前で声を掛けられた。
振り返ると見慣れない容姿に目を疑う。
「神崎くん……前髪……!」
『そう。切ってみた。』
昨日の出来事など気にも留めてない様子で照れ笑いを見せる。
そして気のせいか、前髪を短くしたことで表情だけでなく性格も明るくなったように感じた。
『奥田さんが前髪短い方がいいって言うからさ。どうかな?』
「………!」
大半は嘘だと思うけど、私の言葉で変わってくれるなんてすごく嬉しかった。
「やっぱりいいよ!
今の方がかっこいい!」
満面の笑みの美優に合わせて笑う空。
神崎くんとこんなに親しく話せる日が来るなんて考えてもみなかった。
『空!』
「――?」
美優とは逆側の空の腕に絡み付いた女に美優と空は固まった。
「…由紀さん…………」
『……?
空のクラスメート?』
空を挟んで覗き込むように美優の顔を伺う由紀。
「…は、初めまして………」
私が由紀さんを一方的に知ってるだけで、由紀さんは私を知らない。
『可愛い子だね』
神崎くんに笑顔を向ける由紀さんに、神崎くんは表情ひとつ変えない。
きっと昨日のこともあるから―…
『空、今日泊まってもいい?
明日休みだし、どっか行こ?』
泊まり…………
何のためらいもなく出た言葉に羨ましさを感じる。
わかってた。
恋人同士だもん。
お泊まりなんておかしいことじゃない。
『うん、いいよ』
でも昨日の今日だよ……?
断ってくれるものだと期待してた。