俺を好きだと言ってくれ
第2章 *出逢い..
神崎くんが由紀さんと付き合ってるのは知ってた―…
私が初めて神崎くんに会ったのは屋上で、由紀さんが留学することにビックリするくらい落ち込んでて、何て声をかけたらいいのかわからないくらいだった。
「………あっ…神崎くん………」
そんな落ち込みが嘘みたいに、今目の前を歩く神崎くんは由紀さんを見つめて幸せそうに笑ってる。
そんな笑顔に私はバカみたいに苦しい―…
叶うはずがないのに。
由紀さんの足元にも及ばないのに。
ゆっくり2人とすれ違ったのに、神崎くんは私なんか視界に入ってないのか声をかけてくることはなかった。
そう、
私は神崎くんにとって景色と同じ―…
私の声は周りの雑音と変わらない―…
神崎くんの瞳には由紀さんしか映らない。