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第6章 孤独な夜のはじまり

ブラックジャック参加者がテーブルにつき、その右脇に代打ちを依頼しているものが座る。

代打ち依頼者は逃げたり暴れたりしないように念のため、両手両足に金具が付けられる。


自分の命を賭けた勝負を目の前で敢えて観戦させるところにほのかは、主催者側の悪趣味なやらしさを感じずにはいられなかった。


となりに座られてはプレイヤーは命を預かっている張本人の目の前で、チップを張ったり勝負をしなくてはいけなくなる。


互いに緊張が走り、判断の冷静さを欠くようなシステムだ。


ほのかの隣には当然冨田が座る。


「吾郷さん、よろしくお願いします……」


冨田は消え入りそうな声で呟いて頭を下げる。


「代わります! 私が代わりに座って冨田さんにブラックジャックをしてもらいます! お願いします! ライオンさん!」


人のの命を預かるなんて自分には出来ない。


ほのかはたまらず叫んだ。


「それは出来ません、吾郷さん」


ライオンはにべもなく突っ返す。


「安っぽい演技はいいんだよ。そこまでなんとかしたいって思うなら必死で勝つことだけを考えな。
まあどうせいい人ぶりたいだけなんだろうけどさ。必ずいるんだよな、お前みたいな奴」


隣のプレイヤー席に座った重森が冷たく言い放つ。


「ようは勝てばいいんだよ。吾郷は自分が負けること前提だから悲壮感溢れるんだ。
勝とうとしろ!勝てばお前はもちろんその女も無傷だ。
甘えるな!勝ちを目指せ!!」

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