テキストサイズ

GAME

第7章 狂い出す計算式

次のゲームもほのかは当然最小単位の10をベットする。

先ほど獲得した10だ。
たとえこれに負けても冨田の体は保証される、いわゆるセーフティと言えるベットだ。


「おい!話が違うだろう!」

隣の席で桂がまた悲痛な叫びをあげる。


重森はまたしても100をベットしていた。


「100勝ったんだから10づつ賭ければ全部負けても10回凌げるだろう!」


桂は目を剥いて抗議する。

だが重森は桂の抗議が聞こえないかのように無視を決め込む。


真横でこんな大声を出して聞こえないはずがないが、重森は桂に視線すら向けない。


叫び続ける桂を無視してカードが配られる。


ほのかのカードは5と6で11。


対するディーラーのオープンカードは10。


あと一枚だけしか引けない代わりに掛け金を倍にするダブルダウンをするチャンスではある。

なにせ10は一番多い数だ。

しかし、とほのかは腰が引けてしまう。

もしダブルダウンして4とか5とか低い数字を引いてしまっては目も当てられない。


しかもディーラーは10だ。


確かに高い数値が出る確率はかなり高い。

しかし低い数字を引く可能性も低くはない。


もし負けた場合、同じ負けるにしてもダブルダウンをして二倍の額を払って負けるより今のまま10で負けた方がましなのも確かだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ