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第8章 他人の痛み、自分の痛み

一方、ホテル『ロンシャン』のプレイルームではほのかが完全にゲームの空気に飲み込まれ、崩れ始めていた。


「すいません、冨田さん」


ほのかは額にびっしりと汗をかき、冨田に謝る。


「……いえ、…………お気になさらずに」


不安を隠しきれない表情ながら冨田はほのかを励ます。


開始から拍子抜けするくらいあっさりと2連勝をしたほのかは続く第3ゲームも勝った。


勢いに乗った第4ゲームで最低ベット数10ではなく、20をベットした。


30チップの余裕があると気が大きくなったこともあった。

それに重森の言葉も脳裏にちらついてしまった。


余裕があるときに勝負しないで、余裕がなくなったときに勝負する。


これが一番勝負慣れしていない人間の冒す過ち。



重森のこの言葉がほのかを動かしてしまった。

しかしこれが、裏目となる。

はじめの手札2枚は14であった。


勝負に出た瞬間に今までにない悪い数字。


当然14では勝負出来ない。

ヒットをし、Qを引いてしまい24でバーストした。

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