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第9章 捕食者

作戦が途中で変更になる可能性もないわけではないだろうが、連絡の取りようがない森の中では変更を伝えることが出来ない。

大きく変わることもないだろうという結論に至り、二人は安全地帯に移動を開始しようと腰をあげた。

「じゃあ行くか……まだ一時間以上もあるしな……」

「そうだね……でも竜崎君がいたらなんか安心するよ。大丈夫なんじゃないかって……」

木村の信頼したような笑顔に竜崎は照れ臭くなりながら立ち上がる。


「ば、馬鹿言え。俺だって怖いよ、正直な話」

「何がそんなに怖いの、竜崎君」

立ち上がった目の前に酒守はなが笑いながら立っていた。




「こんなとこにいたんだ、竜崎くん。探したんだから」



唇をツンと突き出し、拗ねたような甘えたような表情をする酒守。

確実にその表情と行動は合っていない。

妖しく光る日本刀を振り上げにこにこと笑いながら近づいてくる。

「逃げて!竜崎君っっ!!」

一瞬の隙をつき、果敢にも木村が酒守の足を払う。

酒守はよろめき、僅かな隙が生まれる。

木村が心配ではあったが自分も危ない。

再び竜崎一司の全力逃走劇が始まった。

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