テキストサイズ

GAME

第10章 悪党の饗宴

「騙されました」と相手に言わせるのは実に難しい。

騙されたとわかっても別に危険性がなければ「騙された」と言わなければいいだけの話だからだ。

小石川は予備知識もない開始早々、はやくもその確信に気づいていると壬生は悟った。

小石川はまさにミイラ取りをミイラにさせた。



「私もうお家に帰りたい……」

葛本が退場になり、静まり返るプレッシャーに耐えきれなくなったのかプレイヤーの一人、伊吹が呟いた。

その言葉の真偽を見定めるかのように残り三人のプレイヤーが伊吹を見る。

心配や同情をするような視線でなく、観察するような視線が伊吹に集まる。

「やめて! そんな目で見ないで!
もう嫌なの!騙すだの騙されるだの!
おかしい! 狂ってるよ! こんなの!!」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ