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第3章 廃工場の夜

三人とも一応護身用のナイフを持ってきており、みなそれぞれナイフを握り、じりじりと進む。


ナイフの柄を握る手に力が入りすぎ、ほのかは手のひらが痛くなる。


力の強さに気付き、落ち着いて緩やかに握りなおすと柄がぐっしょりと濡れていた。


ほのかはその手のひらにかいていた汗の量に驚く。


突如先頭を歩いていた竜崎が止まり、小石川とほのかはその背中にぶつかる。

「どうし--」


話しかける二人に対し、竜崎は口元に人差し指を当て、静かに、と無言で指示をした。


パキ……パキッ

……パキ、パキッ…………



やや奥の方からガラスやプラスチック片を踏みながら何者かが歩く音がする。


向こうも慎重に足音をなるべく立てないように歩いている様子であった。

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