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第3章 廃工場の夜
「追うな! ほのか!」
小石川はほのかの動きを制した。
「あんな大きな声を出されては他の奴に聞かれたかもしれない。俺たちも早くここから移動しよう」
小石川篤弘は冷静にそう告げて、足早に歩き出した。
外周廊下を歩いていると時たま丁字路に遭遇する。
階段は外周通路ではなく、中の方にあるのかもしれないと小石川は考えた。
とはいえ、先ほどの女が階段を駆け下りていく音が意外と近くから聞こえた為、少し離れた箇所の階段を探すことにした。
三人にとってもはや一万円の賞金などどうでもよく、五体満足にこの場所から逃げ出せればそれでよかった。