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姉とのこと

第14章 高校生の時の姉は・・・

山崎少年も遊びに夢中でぶつかったまま
走り去ろうとした所を恵美に呼び止められ
友人への謝罪を要求されたのだ。
山崎少年は年少の頃から柔道を習っていて
小五にしては身体も大きく一見して
いじめっ子という風体で
周りの男子からも一目置かれ
女子からは怖い男子と敬遠されていた。
その山崎少年にくってかかったので
恵美の友人達も戦々恐々だった。

山崎少年は女子から呼び止められ
怒鳴られた事で頭に血が昇ってしまい
腕にも自信があるので身体も小さい恵美に
「女子のくせに生意気だ」と事もあろうに
校庭で一本背負いを掛けてきた。
柔道修得者としては
やってはいけない行為なのだが
それは少年故の過ちだろう。
ところが投げの勢いと軽い体重で
外側に振られる事で恵美は投げをスルリとかわし
あっけにとられている山崎少年に
スリーパーホールドを掛けてしまった。
それは見事なハマリ方でチョークではなく
完璧なスリーパーホールドだった。

実は恵美は父親の影響でプロレスが大好きで
正一を実験台にして技の練習をしていたし
父親も大学までは柔道の経験者なので
恵美や正一におもしろがって関節技や
プロレス技などを教えていたのだ。
山崎少年はあっという間に落ちてしまい
恵美が技を解くと直ぐに気がついたが
走って逃げてしまった。
翌日には友人から山崎少年から
謝罪があったと聞きそれっきりだった。

余談ではあるがこの鈴木さんは
後に柔道界で活躍した山崎少年と
社会人になって数回目の同窓会の折りに
この時の事が話題となり付き合い結婚して
幸せな家庭を築きこととなる。
そして,恵美の事情を知り
後々相談相手となる友人でもある。


そして小学校六年の秋に恵美が友人達と
体育館で遊んでいるときに山崎少年が
敷かれていたマットの上で「勝負だ」と
恵美にリベンジと突っかかってきたのだ。
しかしながらである。
山崎少年はさらに身体が大きくなり
恵美はオシャレに目覚めた後で
髪も伸ばしワンピースを着た
一見してひ弱な女の子だった。
周りからも「いくら何でも」と各々に止めが
入ったが恵美もオシャレはしていたものの
元からの性格が変わった訳ではないので
その申し出を受けてしまった。

彼も一年間修練を重ねて来たのだろう。
恵美をクルリと巻き込む事で
ほとんど衝撃を与える事なく
それは見事に恵美の事を投げてみせた。

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