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姉とのこと

第14章 高校生の時の姉は・・・

約2mからの落下である。

バフン!

「きゃはは!おもしろーい」

「おもしーいじゃないよ」

正一はなかば呆れてしまった。

「ブレーンバスターで
 倒立する女子なんかいないっすよ?」

と山崎も呆れていた。
恵美はもう一回とせがみ
2回目の投げの後にも爆笑していた。

「ねえねえ。あんた達も投げてもらえば?
 おもしろいよ?」

恵美の楽しそうな様子を観ていて
友人達も興味を示したようだが
さすがにブレーンバスターは怖いので
払い腰をゆっくりと大きく投げてもらい
やはりキャッキャッと喜んでいた。

正一から見ても山崎は女性の身体の
軟らかい部分には極力触れないように,
変な衝撃が加わらないようにと
気を遣って投げているのがわかった。
あまりに楽しそうなので正一も

「山崎さん,俺もいいっすか?」

とお願いするといきなり
情け容赦のない一本背負いが炸裂して
マットの上とはいえ衝撃で
正一は息が止まってしまった。
その様子を観て姉と友人達は
また爆笑して笑い転げていた。

二人で場を離れながら山崎が

「気を遣ってもらったかな」

とポツリとつぶやいた。

「いや~。あれは自分が
 楽しみたかっただけですよ」

「そうだなw」

山崎はフッと息をつき
後ろで姉たち四人が
まだキャッキャッと騒いでいた。

「ねぇ。メグ。
 山崎くんにケンカで勝ったってほんと?」

「あ!私もそれ聞きたい」

「ボコボコにしたってほんと?」

「してないよ〜。
 それに、あれは負けてくれたんだよ。
 普通に考えて勝てる訳ないじゃん」

遠くで姉たちの会話が聞こえて来た。
正一も当時の姉が興奮気味に
自分に技を掛けつつ話してくれたので
経緯や展開は知ってはいたが
茶化すように聞いてみた。

「あんなこと言ってますが?」

「負けは負けたんだよ。
 もういいだろう?」

少し恥ずかしそうにしている
山崎の顔を見るのは初めてかもしれない。

その日の放課後,
恵美が正一の教室に尋ねてきた。
昼に聞いた生徒会の会議があるので
母親に頼まれた買い物を正一に頼みに来たのだ。

正一と恵美が教室の入り口の所で
話しをしていると正一の友達数人が
自分達を見ているのに気づいた恵美は
にこやかに彼らに手を振った。
それに気づいた正一が振り返ると
変に緊張した友人達が
ぎごちない会釈をしていた。

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