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RAIN

第2章 雨の中の出会い《翔side》

結局駿平と一緒に登校する形で教室に入り、自分の席に座ると、俺の前に一人の女子生徒が近づいてきた。
「おはよう、翔」
こいつも声だけで分かる。
「……ああ……」
相手も俺の態度に慣れてるから、何も反応することはない。

「駿平と一緒に来るなんて珍しいじゃない?」
「一緒に来た訳じゃない。勝手にあいつがついてきただけだ」
無愛想に言えば、相手はふぅーっと大きな溜め息を一つついた。
「相変わらずね……」
「うるせーな。そういうお前も相変わらずじゃないか」

いつもいつも懲りずに、必ず声を掛けてくる。
ある意味、駿平と似ている。お節介なこいつは秋月 美紀(あきづき みき)。駿平と美紀とは幼稚園時からの腐れ縁である。

他人と接するのを拒む俺に、あいつらは無遠慮で近づき、当たり前のように話し掛けてくる。

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