テキストサイズ

RAIN

第2章 雨の中の出会い《翔side》

家族以外で気疲れせず、話できる人間は駿平と美紀だけだ。
だからか知らないが、こいつらも気遣いせずに容赦なく言いたいことを言ってくれる。ある意味、迷惑な奴らなのだ。

「もういい加減、部活とか入ればいいのに……」
美紀から振った話題に、俺はちらっと上目遣いで見やる。
「お前も懲りないな? 男バスに入れっていうんだろ?」
美紀の魂胆なんかみえみえだ。

美紀は女子バスケ部に所属している。しかも副部長というポジションにある。女子バスケはそれなりに強いが、男子バスケは戦力が乏しいとかで俺にバスケ部に入れと何度も催促してくる。

「だって運動神経いいしさ。センスもあるし、翔ならすぐにレギュラーとして戦力になるもの。もったいないよ! それにどうせ放課後なんてどこにも寄らないで、ただまっすぐ家に帰るだけでしょ? すごく不健康よ」
なんでそんな力説するのか、俺には不可解でしかない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ