
逃亡少女と逃亡悪人
第3章 忍耐
見飽きた灰色の壁から目を背けるように瞼を閉じた時だった。
また再び、あの重苦しいドアが音をたてて開いた。
「ゴハンデス。ノコスノ、ノー、デス」
目の前に黒い肌をした大男がにゅっと顔をだした。
その手にはまだ湯気のたつスープとパンの載った小さなお盆。
「・・・」
食欲なんてなかった。
こんな所でのこのこと食事をとれるほど私の神経は図太くなかったし、第一・・・。
(こんなに鎖で縛られてたら食べれるわけ、ない)
腕は私の身体の後ろで一つにくくられて鎖に繋がれて自由を奪っている。
たとえ私に食べる気がないとしても、この扱いはどうかと思う。
「おい、キュウ。それじゃあ食えねぇだろ」
「っ」
驚いた。
いつの間にか、金髪がこの部屋に入ってきていた。
(気配、しなかった)
「エックス、アタマイイ。クサリ、ホドク。テツダウ」
「てめーが能無しすぎんだよ、けっ」
金髪は吐き捨てるようにそう言うと私の前にしゃがんだ。
「おうおう。なんだ、泣いてんのかと思いきや、目赤くなってもねーじゃん」
男の目には好奇の光が浮かんでいた。
私がどう反応するのかを楽しみにしている。
「・・・」
私は断固として黙ることにした。
話すことが彼を喜ばせるならばここは言葉を出さないのが一番小気味がいい。
男は思ったとおりつまらなそうな顔をすると、私の腕の鎖を黒人の男、キュウと一緒に外しだした。
にぎにぎと指を動かす。
長い間拘束されていた手首には鎖の跡が何重にもついていた。
「ほら、食え」
エックスという男が私の目の前に置かれたご飯の入ったトレーを軽く蹴る。
それでも私に食欲はなかった。
「タベナイ」
「いつか食うだろ。誰だって空腹には勝てねーよ」
そんなことわかってる。
生き残るためには敵から出されたものでも口にしないといけない。
でも今何か食べたら戻してしまいそうだった。
じっとトレーを見つめる私に、エックスが眉を寄せた。
また再び、あの重苦しいドアが音をたてて開いた。
「ゴハンデス。ノコスノ、ノー、デス」
目の前に黒い肌をした大男がにゅっと顔をだした。
その手にはまだ湯気のたつスープとパンの載った小さなお盆。
「・・・」
食欲なんてなかった。
こんな所でのこのこと食事をとれるほど私の神経は図太くなかったし、第一・・・。
(こんなに鎖で縛られてたら食べれるわけ、ない)
腕は私の身体の後ろで一つにくくられて鎖に繋がれて自由を奪っている。
たとえ私に食べる気がないとしても、この扱いはどうかと思う。
「おい、キュウ。それじゃあ食えねぇだろ」
「っ」
驚いた。
いつの間にか、金髪がこの部屋に入ってきていた。
(気配、しなかった)
「エックス、アタマイイ。クサリ、ホドク。テツダウ」
「てめーが能無しすぎんだよ、けっ」
金髪は吐き捨てるようにそう言うと私の前にしゃがんだ。
「おうおう。なんだ、泣いてんのかと思いきや、目赤くなってもねーじゃん」
男の目には好奇の光が浮かんでいた。
私がどう反応するのかを楽しみにしている。
「・・・」
私は断固として黙ることにした。
話すことが彼を喜ばせるならばここは言葉を出さないのが一番小気味がいい。
男は思ったとおりつまらなそうな顔をすると、私の腕の鎖を黒人の男、キュウと一緒に外しだした。
にぎにぎと指を動かす。
長い間拘束されていた手首には鎖の跡が何重にもついていた。
「ほら、食え」
エックスという男が私の目の前に置かれたご飯の入ったトレーを軽く蹴る。
それでも私に食欲はなかった。
「タベナイ」
「いつか食うだろ。誰だって空腹には勝てねーよ」
そんなことわかってる。
生き残るためには敵から出されたものでも口にしないといけない。
でも今何か食べたら戻してしまいそうだった。
じっとトレーを見つめる私に、エックスが眉を寄せた。
