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逃亡少女と逃亡悪人

第3章 忍耐

「つまんねぇよな。ボスのせいで犯せねぇだなんてよ」

その言葉にびくっと身体が震える。
こいつは私を犯す気でいたんだ。
男性としての恐ろしさに私は男から目を逸した。

「ボス、ゼッタイ、シカタナイ」

キューがカタコトでも強い口調でエックスを諭す。
どうやらボスは彼らと別にいるらしい。

「わかってるって。逆らわねぇよ」

相変わらずな口調で彼はドアへと足を向けた。

「とにかく次に来るまでに食え。食わねーと無理やり食わすぜ」

そのまま二人はまたドアの外へと消えた。
男たちがいなくなったことに心からほっとする。

(腕の鎖解けたままだ)

両手は自由になった。
しかし足の拘束は解かれないままだ。

(外れないかな)

引っ張ってみる。
結果、手のひらが赤くなっただけだった。

「はぁ」

鎖を一部でも外されたとき、逃げる希望が少しでも見えたのに。
やはりそう甘くはないようだ。

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