
ヤクザくんは隣の席。
第2章 路地裏で。
なんでこいつに、私がこんな事されてるの!?
一応抵抗はやめたけど、手は離してくれない。
すると、路地裏の向こうで数人の男達の声が聞こえた。
「オイ、どこ行きやがった!」
「ちくしょ、見失った」
「向こうを探せっ!」
「藤崎組の野郎が!!」
藤崎組……?
それってこいつ、だよね。
男達は、私達がいる方向とは逆の方向に走って行った。
それを確認した藤崎は、「ふぅ…」と一安心したように息を吹いた。
「あ゛の。くるじいです…」
「あ、わりぃ。」
私の口に手をやっていた事を、思い出したようにすぐ離した。
「ふぅー、はぁー」
やっと息が吸えるようになって、大きく深呼吸する。
