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ヤクザくんは隣の席。

第1章 不登校児くん。



“藤崎組”

建物の入り口に、立てかけてある看板にはそう書いてあった。


え?
ここが…藤崎聖夜の家?

あ…間違えたのか。


手に持っている、藤崎の家までの地図を見た。
(ハゲがわかるように書いた。)

…あってる…。


血の気が引いた。

この家に入れって言うのか!

完全にこれ、ヤクザじゃん!
怖いよ!

ゆういつ、藤崎組の文字の下の蝶のマークだけは綺麗に見えた。

でも、こんなのが綺麗に見えたからって、入れませんから!


見つからないように、こっそりとその場を立ち去ろうとした。

明日ハゲには、いませんでした とかなんとか言っとけばいい。


つま先を立てて、いかにも漫画であるこっそりと忍び寄る感じのオーラを出しながら歩いて行く。

あの路地裏を抜ければ、大通り。
あと、少し…。


のっそりと歩いていてすごく遅いが、見つかる可能性は低い…と自分で思っているが、
逆効果だった。


「おい…てめーなにしてんだ」

ビクっ!といきなり聞こえた声に反応する彩。
彩の背後から聞こえる、低い男の声。

一度聞いた事のある声、

学校で聞いた事ある声だ。


恐る恐る振り返ると、

金色の髪に、耳には銀色に光ったピアス。
鋭い目つき、高い鼻。

見た目は怖いが、確かにイケメン。


「藤崎聖夜…。」

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