
ヤクザくんは隣の席。
第1章 不登校児くん。
ドンっと壁に手をついて、顔を近づけられる。
後ろは壁、前は奴。
「てめー、なんで俺の名前知ってんだ。組のモンか」
鋭い目つきで睨みつけられる。
ヤクザなわけないじゃん!
どうみたって、善良な市民だよっ。
そう言おうとしたけれど、今にも噛み喰われそうな目つきに何も言えなくなった。
私は、ブンブンと首を横に振った。
「…怪しいな。」
いや、だから違うってばっ!
もう、完全に疑われてる。
怖いよ…。
殺されるかも…
さすがにそれはないかもしれないけれど、絶対なにかされる。
怖くなった私は、隙を狙って逃げだそうとした
が、
ガシッと腕をつかまれてしまった。
「逃がさねーよ」
低くて怖い声が、耳のそばで言われると、甘い声に聞こえて、ドキッとしてしまった。
