最後の、恋
第2章 2 高校生活のスタート
少しぽかぽかしてきた4月。
いよいよ、高校の入学式。
「れーい、準備できた?」
お母さんが下から呼んでる。
部屋にある全身鏡の前で
「…。」
となるあたし。
スカート短いかな?
ってかリボン似合わなくない?
中学はセーラーで青のスカーフだったから
ブレザーが新鮮だった。
「れーいー!遅刻するわよ!」
「はーい。」
まだ携帯と財布と定期と筆箱
しか入っていない
軽いスクバを持って
階段を降りて行った。
「玲、おはよ。
おー!制服似合うじゃん。
可愛いわ、うん、可愛い。」
食卓でトーストをかじる
律兄がいた。
律兄はあたしの家から
すぐのところにあるマンションにおばさん(律兄のお母さん)
と二人暮らしをしている。
律兄のお父さんは単身赴任中。お母さんは看護師のため
夜勤のときは
律兄はうちにくる。
遅番のときは夕飯だけ
食べて帰る。
「おはよ。そう?普通でしょ。おばさん、夜勤?」
似合う…のかな?
いやいや、冗談とか
ありえるからなぁ。
照れ隠しで素直には
喜べないあたし。
「あら玲、いいじゃない。
高校生って感じ♪」
「ありがと、ありがと。」
誉められるとこそばゆい。
「玲が照れてる(笑)
母さん、なんか急に入って。
でも玲の入学式には
間に合わせるってよ。
母さん玲のこと
大好きだもんなぁ(笑)」
おばさんはあたしを
すごく可愛がってくれる。
律兄しか子供がいなくて
しょっちゅう
「玲ちゃんみたいな可愛い
女の子がほしかったわぁ!」
と言ってくれる。
こんなに可愛げないのに(笑)
入学式は午後だから
間に合って来てくれるみたい。
「玲、りっちゃんと一緒に
行くんだから急いで!」
えー、と横を見ると
律兄は
「せっかく同じ高校だし
いーじゃん!」
とか言ってる。
その後あたしは
しょうがないから
準備をして律兄と家を出た。
「いってらっしゃい!後でねー。」
と言ってぶんぶん手を振る
お母さん。
「うん、じゃーね。」
高校生活が始まるんだ。