魔境夢想華
第2章 転校生《凜視点》
桜も散り始めた四月中旬。
世間は新しい出発に向かう、初々しい人たちの姿があちらこちらで見掛ける。
そしてそんな俺もその一人に入るのではないだろうか。
山に囲まれた田舎から東京に近いこの地に越し、始業式の日にこれから世話になる、この駿河(スルガ)高校に転入してきた。
この高校に通ってから一週間以上になる。
まだ新しい環境に慣れないこともあるが、それでも俺は何とか今のこの生活を楽しもうとしていた。
「はよー、浅倉。もう慣れたか?」
クラスメイトの一人、橋本が気さくに声を掛けてきた。
「ああ、まだ分からないこともあるけど、何とか少しずつな……」
俺は自分の席に座りながら、橋本と会話を楽しむ。
「ま、分からないことがあったら、遠慮なく聞けよな」
にっと無邪気に笑う彼に、俺もつられて笑みが零れる。
「サンキューな」
「そういえばさ、今日、転校生が来るらしいぜ」
思い出したように橋本が違う話題に入る。
「転校生?」
「お前もそうだし、ここ最近、転校生ラッシュなのかな?」
その問いに俺はどう反応していいか浮かばず、苦笑で返すしかなかった。
そんな会話をしているうちに予鈴が校内に鳴り響き、同時に担任の板野先生が教室に入ってきた。
(あれ、今日は早いな……)
それは橋本や他の奴らも同じだったようで、慌てて各自、自分の席にとつく。
「あー、今日はみんなに新しい仲間を紹介する」
体育会系の白のジャージに身を包んだ板野先生が、入ってすぐにそう口を開いた。
(そういや転校生が来るって言ってたな)
今さっきまで話題に出ていた内容を思い出し、俺は興味を持ってドア付近に目線を送る。
「よし、それじゃ入ってきなさい」
板野先生が教卓からドアへと歩き、廊下にいるらしい転校生に声を掛ける。
みんなも一斉にドアの向こう側にいる転校生へと視線を集中させる。
世間は新しい出発に向かう、初々しい人たちの姿があちらこちらで見掛ける。
そしてそんな俺もその一人に入るのではないだろうか。
山に囲まれた田舎から東京に近いこの地に越し、始業式の日にこれから世話になる、この駿河(スルガ)高校に転入してきた。
この高校に通ってから一週間以上になる。
まだ新しい環境に慣れないこともあるが、それでも俺は何とか今のこの生活を楽しもうとしていた。
「はよー、浅倉。もう慣れたか?」
クラスメイトの一人、橋本が気さくに声を掛けてきた。
「ああ、まだ分からないこともあるけど、何とか少しずつな……」
俺は自分の席に座りながら、橋本と会話を楽しむ。
「ま、分からないことがあったら、遠慮なく聞けよな」
にっと無邪気に笑う彼に、俺もつられて笑みが零れる。
「サンキューな」
「そういえばさ、今日、転校生が来るらしいぜ」
思い出したように橋本が違う話題に入る。
「転校生?」
「お前もそうだし、ここ最近、転校生ラッシュなのかな?」
その問いに俺はどう反応していいか浮かばず、苦笑で返すしかなかった。
そんな会話をしているうちに予鈴が校内に鳴り響き、同時に担任の板野先生が教室に入ってきた。
(あれ、今日は早いな……)
それは橋本や他の奴らも同じだったようで、慌てて各自、自分の席にとつく。
「あー、今日はみんなに新しい仲間を紹介する」
体育会系の白のジャージに身を包んだ板野先生が、入ってすぐにそう口を開いた。
(そういや転校生が来るって言ってたな)
今さっきまで話題に出ていた内容を思い出し、俺は興味を持ってドア付近に目線を送る。
「よし、それじゃ入ってきなさい」
板野先生が教卓からドアへと歩き、廊下にいるらしい転校生に声を掛ける。
みんなも一斉にドアの向こう側にいる転校生へと視線を集中させる。