魔境夢想華
第2章 転校生《凜視点》
「それじゃ……、蓮川くんは後ろの空いている席でいいかな。あ、その右斜め前の席に座っている彼も一週間前に転入してきたんだ。きっと気が合うだろう」
……それってどういう意味だ?
時々、先生って感性おかしいんじゃないだろうかと疑いたくなる時がある。
蓮川は小さく「はい」と答えると、指定された席にと移動してくる。その間にもまだ女子たちの声が飛ぶ。
彼がちょうど俺の横を通った時、俺にと顔を軽くだが向けてきた。途端に彼と目が合う。
そんな彼の視線が、何か語りかけているようで俺はどきりと胸が高鳴ってしまった。
別に何された訳でもない。何か言われた訳でもない。
なのに彼の瞳は俺から離れない。何かを訴えるようなその瞳に絡まれ、俺もまた彼から瞳を外せずにいた。
だが何言う訳でもなく、しばらく視線を交わしたままだったが、蓮川の方から目線を外すと、彼はそのまま自分の席へと移動していった。
一体、なんなんだ。
何か言いたげな、寂しそうな瞳。物憂げな表情は俺へと向けられて、正直心地が悪い。
そして実は今も背後から視線を感じて、その不快感はますます上昇するばかりだ。
蓮川の、俺へと放つ視線は俺を不安にさせる。何か訴えているような視線。
彼の視線を一身に浴び、俺は身じろぎひとつ取れない。
そんな俺のことなんか誰一人気付くはずもなく、俺の斜め後ろに座っているであろう蓮川に周囲の連中は軽く挨拶や自己紹介を始めていた。本来なら俺だって彼に挨拶をすべきだろう。
しかしやはり彼の強い、射抜くような視線から逃れたい俺は、結局挨拶しないまま、ただ早く時間が過ぎることだけを願っていた。
……それってどういう意味だ?
時々、先生って感性おかしいんじゃないだろうかと疑いたくなる時がある。
蓮川は小さく「はい」と答えると、指定された席にと移動してくる。その間にもまだ女子たちの声が飛ぶ。
彼がちょうど俺の横を通った時、俺にと顔を軽くだが向けてきた。途端に彼と目が合う。
そんな彼の視線が、何か語りかけているようで俺はどきりと胸が高鳴ってしまった。
別に何された訳でもない。何か言われた訳でもない。
なのに彼の瞳は俺から離れない。何かを訴えるようなその瞳に絡まれ、俺もまた彼から瞳を外せずにいた。
だが何言う訳でもなく、しばらく視線を交わしたままだったが、蓮川の方から目線を外すと、彼はそのまま自分の席へと移動していった。
一体、なんなんだ。
何か言いたげな、寂しそうな瞳。物憂げな表情は俺へと向けられて、正直心地が悪い。
そして実は今も背後から視線を感じて、その不快感はますます上昇するばかりだ。
蓮川の、俺へと放つ視線は俺を不安にさせる。何か訴えているような視線。
彼の視線を一身に浴び、俺は身じろぎひとつ取れない。
そんな俺のことなんか誰一人気付くはずもなく、俺の斜め後ろに座っているであろう蓮川に周囲の連中は軽く挨拶や自己紹介を始めていた。本来なら俺だって彼に挨拶をすべきだろう。
しかしやはり彼の強い、射抜くような視線から逃れたい俺は、結局挨拶しないまま、ただ早く時間が過ぎることだけを願っていた。