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パパはかわら版

第4章 パパはかわら版C

祐子「私は、物事を深く考えてはいきていません」
橋龍「何か嫌なことでもあったんだ」
祐子「そんなものありませんよ。大体、好きで飲んでいるだけです。結構いるんですよ。私に飲ませてくれる人は。ねえ、もっと持ってきて」
橋龍「そうか」
祐子「日本一の瓦版が、飲み屋の女中相手にあれこれ詮索するなんて、酷いことしてると思いますよ。私は、おっさん相手にふらふら飲んでるだけだもん。それに、橋龍さんも独身だって聞きましたよ。私と大して変わらないじゃないですか」
橋龍「私は違うよ」
祐子「違いません」

橋龍は、この後かなり飲んで、ぐでんぐでんになった。祐子は知らない間にどこかに行ってしまっていた。代わりに、礼子という女中がいた。

橋龍「あれ、君は誰だっけ」
礼子「だから、私は礼子ですよ。何回も言っているじゃないですか」
橋龍「あ、そうそう、礼子ちゃん。もっと、飲みなさいよ」
礼子「私はいいんですが、もう橋龍さんは、かなり酔ってますよ」
橋龍「私に帰れっていうのか。客に酷いこと言うね」
礼子「そうではありませんけど、もう大分眠くなってきたんじゃないですか」
橋龍「私は眠くなんかないよ」
礼子「そうはみえませんよ」
橋龍「それならどう、君に送ってってもらおうかな」
礼子「困ります。私はまだ仕事の最中です」
橋龍「かまわないよ。一緒に帰ろう」
礼子「それはできません」
橋龍「何だ君は、私は客だよ」
そういった瞬間に、祐子が脇からけりを入れた。橋龍は、そのまま横になったまま眠ってしまった。

祐子「礼子ちゃん、籠をよんで返しちゃって」
礼子「はい。そうします」

橋龍は、籠に乗って帰ってきた。籠の担ぎ屋に起こされて、なんとか家までたどり着いたが、そこで倒れ込んだ。ドタドタという大きな音に子供たちは、目を覚まして起きてきた。食事を作って待っていたが、橋龍は帰ってこなかったので、自分たちだけで済ませて、もう眠っていたのだ。

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