テキストサイズ

パパはかわら版

第5章 パパはかわら版D

今日は、弥生が橋龍を夜誘った。そういったことは今まではなかった。もちろん、子供たちがいなかったわけだから、自由に会いたければ、家に行って会うことはできたのだから当然だった。しかし、これからは、そういう風なわけにもいかない。現実に、橋龍と子供たちの生活は、続いていくのだ。もしかしたら、時間を見つけるのも難しくなるのかもしれない。実際、子供たちに会えばいい子たちだと思った。橋龍との関係の邪魔になるとは考えたくなかった。そもそも弥生は、橋龍とはどうしたかったのだろうか。旗本の娘と瓦版だから、結婚のことは考えてはいけないと思ってはいただろう。簡単に、旗本の家を出るわけにもいかなかったはずだ。それは、多くの人に迷惑をかける。自分の家だけでも、心苦しいが、親戚縁者にまでとなると、あまりにも身勝手な決断でしかない。旗本の娘ともなれば、それぐらいの責任もあるのだ。それに、自分勝手な行動をとったとして、相手が橋龍では、家族として生活するイメージもいまいち持てなかっただろう。瓦版の妻というだけではなく、はたしてそれが橋龍らしい生き方であるのか、弥生には分からなかったに違いない。しかし、こういったことは、子供たちがくる前から考えなくてはいけないことで、橋龍と弥生のことに関しては、子供たちのことは全くではないが、関係なかったといっていい。あくまで、2人の問題だったのだ。ただ、子供たちがいればいるで、2人の関係もそれに左右はされてしまう。おそらくだが、ただ単に親戚の子と言うだけではないはずだ。それ以上は、あくまで、推測になってしまう話で、気にはなるが、問いつめようとは弥生は思わなかった。もしかしたら、それは自然に分かることなのかもしれない。そして、それはそのときに考えればいいことなのだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ